鈴鹿山脈・釈迦ヶ岳の麓にある菰野町田光地区。蔵のすぐ後ろに在る鈴鹿山脈から鈴鹿おろしの冷たく強い風が吹き、昼夜の寒暖差も大きいことから稲作に適した地域だと言われています。また、鈴鹿山脈を源流とした河川も多くあることから、地下水が豊富な地域としても有名です。その豊富な水は、米作りや酒造りには欠かせないものであり、そんな豊かな環境の中に早川酒造はあります。元々は四日市市天カ須賀に蔵を構えておりましたが、昭和34年の伊勢湾台風を機に、酒造りに使用する仕込み水の水質が大きく変わってしまったことにより、より良い水を求めて現在の菰野町へと移転しました。いくつか候補地が挙がる中で、菰野町の水質が一番良かったようです。実際に仕込み水に使用する釈迦ヶ岳の伏流水は超軟水で、その伏流水で仕込まれる同蔵の酒は、まろやかで柔らかい口当たりの酒質のものが多くなっています。
そんな同蔵の代表銘柄は、地元で愛されている『早春』と、特約店限定ブランド『田光』の2つ。そして、その酒を醸すのは4代目蔵元兼杜氏の早川俊人氏。東京農業大学醸造科にて酒造りを学び、『上喜元』を醸す山形県の酒田酒造で酒造りの修行を経て、蔵の命運を懸けて2009年に『田光』を立ち上げました。酒田酒造での修行時には、任された担当場所での仕事はもちろん、休憩時間にも他の部署の先輩たちに話を聴いて回り、その内容を事細かにメモしていたそうです。その時の経験が今の酒造りに非常に活きていると早川杜氏は話します。
酒造りに真摯に取り組むことで酒質もみるみるうちに向上。近年では東京での大型日本酒イベントにも出展し、昨年開催された三重の大酒蔵市でも絶大なる人気を誇るなど、今や三重県を代表する酒蔵のひとつにまで成長しました。
日本全国から引っ張りだこの早川酒造ですが、KOBAも以前から何度かお取り扱いのお願いをしておりましたが、製造量の関係からなかなかお取り引きには至りませんでした。しかし、昨年10月に蔵へ訪問してお話をさせていただき、年始には早川杜氏がKOBA店舗へご来店いただくなど、今後の展開についての話し合いを重ねた結果、この1月より新たにお取り扱いさせていただく運びとなりました。
気になる酒のラインナップですが、早川酒造では、早川杜氏が感銘を受けた酒米「雄町」、縁のある山形県産の「出羽燦々」、そして地元の契約農家が丹精込めて栽培した「神の穂」を主軸として原料米に使用。様々な酒米を駆使し、精米歩合や使用する酵母など、多様な要素を組み合わせることで、定番酒とは別に毎月1種類ずつ、タイプの違う酒を発売するとのこと。月毎にどんな酒が入荷してくるのか、今からワクワクが止まりません!(笑)
まろやかで柔らかい口当たりの中に、米の旨味と爽快感を感じ取れる味わいの「田光」。ぜひ一度、ご賞味ください!!